2025.12.12防音のしくみ・方法

防音対策の種類｜吸音・遮音・防振・制振の解説とよく使われる素材

「隣の部屋の話し声が気になる」「楽器の音が外に漏れていないか心配」「機械の振動音がうるさい」など、騒音は私たちの快適な生活や仕事の妨げとなることがあります。一口に「防音対策」と言っても、その方法は一つではありません。音の性質や発生源、そして目指す防音効果によって、適切な対策は異なります。防音対策には、大きく分けて「吸音」「遮音」「防振」「制振」の4つの種類があります。これらの原理と、それぞれに用いられる素材や製品を理解することが、効果的な騒音対策への第一歩となります。この記事では、これら4つの防音対策の原理を分かりやすく解説し、それぞれの対策でよく使われる素材や製品、そして期待できる防音効果についてご紹介します。自宅での騒音対策を考えている方も、ぜひ参考にしてください。

吸音
遮音
防振
制振
防音対策には4つの種類がある

吸音

吸音とは、音を吸収することで、音の反響や響きを抑える防音対策です。音のエネルギーを熱エネルギーなどに変換することで、音の跳ね返りを減らし、室内の音環境を整えることを目的とします。音が素材の内部にある微細な穴や繊維の隙間に入り込む際に摩擦を起こし、そのエネルギーが減少するという仕組みです。主に、部屋の中の音が響きすぎる「反響音」を軽減し、会話をクリアにしたり、音楽をより聴きやすくしたりする防音効果が期待できます。よく使われる吸音材には、グラスウールやロックウールといった繊維系の素材、ウレタンフォームなどの多孔質素材、そして防音カーテンや吸音パネルなどがあります。防音カーテンは、窓からの音の侵入を和らげるとともに、室内の反響音を吸収する効果も期待できます。

遮音

遮音とは、音を跳ね返すことで、音の伝達を物理的に遮断し、音漏れを防ぐ防音対策です。音のエネルギーを反射させることで、音源から別の空間へ音が伝わるのを防ぎます。密度が高く、重く、頑丈な素材が遮音性に優れています。音を透過させないため、壁や床、窓、ドアなどの「隙間をなくす」ことが非常に重要になります。遮音材には、鉛シートやゴムシート、石膏ボード、コンクリート、そして防音シートなどがあります。特に防音シートは、既存の壁や窓に手軽に追加できる遮音材として注目されています。遮音対策は、隣の部屋への音漏れを防いだり、外部からの騒音侵入を抑えたりする、直接的な防音効果をもたらします。

防振

防振とは、機械や構造物から発生する振動が、床や壁などの他の部分に伝わるのを防ぐ防音対策です。振動が伝わることで発生する「固体音（固体伝播音）」を軽減することを目的とします。振動を吸収したり、振動源と伝達経路を切り離したりするために、柔軟性のある素材や、振動を吸収する構造の素材が用いられます。防振材には、ゴム、スプリング、フェルト、コルクなどがあります。また、洗濯機の下に敷く防音マットや、スピーカーの足元に置くインシュレーターなども防振材の一種です。防振対策は、階下への足音や、機械の稼働音、スピーカーの振動などが原因で発生する「ドンドン」「ゴー」といった低い音の防音効果に特に優れています。

制振

制振とは、振動している物体の内部で、その振動エネルギーを吸収・分散させ、揺れ自体を抑える防音対策です。主に、薄い壁や金属板など、振動しやすい素材が音を発生させてしまうのを防ぎます。振動エネルギーを熱エネルギーなどに変換することで、素材そのものが共振して音を出すことを防ぐ仕組みです。制振材には、制振シート（アスファルト系、ブチルゴム系など）、鉛シートなどがあり、振動する対象物に直接貼り付けて使用します。制振対策は、壁やドア、車のボディなど、面が振動して発生する音を抑え、全体の防音効果を高める役割を果たします。

防音対策には4つの種類がある

いかがでしたでしょうか？この記事では、防音対策の主要な4つの原理である「吸音」「遮音」「防振」「制振」について解説しました。それぞれの対策には異なる防音効果があり、単独で用いることもあれば、複数の対策を組み合わせてより高い防音効果を目指すこともあります。例えば、窓からの音漏れには防音シートや防音カーテンによる遮音・吸音対策が有効ですし、床からの振動音には防音マットによる防振対策が効果的です。騒音問題を解決するためには、まず「どのような音が」「どこから発生しているのか」「どの程度の防音効果を目指すのか」を明確にし、それぞれの状況に合った適切な対策を選ぶことが重要です。この記事が、あなたの騒音の悩みを解決し、快適な音環境を実現するための一助となれば幸いです。

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