2021.9.1防音素材
吸音材・防音材の違いとは?防音の基礎と用途に合わせた素材の選び方
防音材は音を防ぐためのものであり、騒音対策に欠かせません。
しかし防音材とひと口にいっても、音を吸収するもの、音を遮るものなどさまざまな種類があります。
また防音材それぞれに特徴が異なるため、防音性能を発揮させるためには素材に適した用途で使用することが大切です。
「吸音材と防音材…よく耳にするが違いがわからない」「防音材にはどのような種類があるの?」「吸音材はどんな用途に使うの?」など、防音についてさまざまな疑問を抱いている人もいるのではないでしょうか?
そこで今回は、防音の基礎として防音材の種類や用途に合わせた素材の選び方をご紹介します。
防音材とは
防音材とは、音を防ぐ効果をもたらす素材の総称です。
防音材について解説する前に、まずは音の種類から紹介しましょう。
音の種類
音には空気伝搬音と個体伝搬音の2種類があり、それぞれ音の伝わり方が異なります。
空気伝搬音とは、空気中に放出されて伝わる音。
音源から離れるほど、音が減衰するのが特徴です。
個体伝搬音とは、衝撃や力によって生じた振動が建物の構造体の中を伝わり、壁などを振動させて空気中に放射された音。
音の伝搬経路が複雑で減衰しづらく、空気伝搬音に比べ制御が難しいといわれています。
防音方法は4種類
防音とは、文字どおり音を防ぐこと。
2種類の音に対し、それぞれ2種類の防音方法があります。
- 4種類の防音方法
- ・空気伝搬音に対し、音を吸収することによって防ぐ
- ・空気伝搬音に対し、音を遮断して防ぐ
- ・個体伝搬音に対し、振動源からの音の振動を防ぐ
- ・個体伝搬音に対し、音の振動を減衰させて防ぐ
防音対策を行う際には、音の種類に応じた防音性能のある素材(防音材)を用いる必要があります。
防音材の種類
4種類の防音方法に対し、それぞれの性能を持った4種類の防音材があります。
- 4種類の防音方法と防音材の種類
- ・空気伝搬音に対し、音を吸収することによって防ぐ…吸音材
- ・空気伝播音に対し、音を遮断して防ぐ…遮音材
- ・個体伝搬音に対し、振動源からの音の振動を防ぐ…制振材
- ・個体伝搬音に対し、音の振動を減衰させて防ぐ…防振材
意味や言葉が似ていることから、しばしば吸音材と防音材が混同されることがあるようです。
しかし上記の防音材の種類を見るとわかるとおり、防音材の種類のひとつに吸音材が含まれていることがわかります。
遮音材や吸音材など、性質の異なる防音材を組み合わせることにより相乗効果が生まれ、防音性能や効率を上げることも可能です。
今回は、空気伝搬音対策に有効な吸音材・遮音材について詳しく解説していきます。
防音素材に関する内容は下の記事でも紹介しています。
使用するうえでの注意点などをまとめているので、興味のある方は、合わせてご覧ください。
吸音材とは
吸音材とは、空気伝搬音の振動を熱エネルギーに変え、音を減衰させる素材です。
室内の反響音を軽減させたり、残響時間を調整したりする効果があり、騒音対策には欠かせません。
吸音材は、音を吸収するしくみの違いによりいつくかの種類に分けられます。
ここでは吸音効果が高く、さまざまな現場で活用されている多孔質型吸音材と共鳴器型吸音材について解説します。
多孔質型吸音材
多孔質型吸音材は、素材にあいた細かく小さな穴に音が入ることで、摩擦や振動が生まれ、熱エネルギーに変えることで音を吸収します。
代表的な吸音材として、グラスウール(ガラスウール)やロックウール、ウレタンスポンジ材、フェルトなどがあげられます。
中でも、密度の高い厚手のグラスウール(ガラスウール)は吸音性能が高く不燃素材であるため、工場やスタジオなどにも広く活用されている吸音材です。
共鳴器型吸音材
共鳴器型の吸音材は、空気自体を振動させ、摩擦熱によって音エネルギーを消費させる共鳴現象を利用したもの。
代表的なものに、共鳴器となる穴のあいた有孔ボードやパンチングメタルなどがあります。
壁と吸音材との間に空気層を設けることで吸音できる周波数が変化するのが特徴です。
また、壁との間に多孔質型吸音材を設置することで吸音効率を上げることができます。
遮音材とは
遮音材とは、空気伝搬音を遮断する素材のこと。
壁や天井などを透過させないよう音を跳ね返すことにより、音の通過を防ぎます。
面密度(面密度=厚み×比重)や質量のあるものほど、遮音性能が高くなるのが特徴です。
比重の高い鉛などの金属製やコンクリート製、樹脂製・ゴム製などの遮音材などが代表的です。
また樹脂製・ゴム製の遮音材は、塩化ビニルや合成ゴムなどさまざまな素材を混ぜ合わせて作られています。
ただし、遮音性を高めすぎると必要以上に音が反響し、逆に音が聞き取りにくくなったり、耳や頭に不調が現れたりする場合もあります。
そのため吸音材や調音材を併用し、バランスの取れた音環境を構築することが大切です。
用途に合わせた防音材の選び方
防音材にはさまざまな種類があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。
そのため、用途に適した防音材を選ぶこと、そして用途に合わせて複数の防音材を組み合わせ最適な環境を作ることが重要です。
ここからは、オフィスや工場などにおける、パーツ別・シチュエーション別に合わせた防音材の選び方を解説します。
床の騒音対策
床への音の伝わり方は、個体伝搬音の要素が強く対策が難しいのが特徴です。
おすすめは、ゴム製の遮音マットです。
遮音性能が高く、防振材・制振材としての効果も有した大変優れた素材といえます。
また床への衝撃音を軽減させるなら、遮音材と吸音・防振材として高密度グラスウールボードを組み合わせるのがおすすめです。
これらを床の下地材として使用することにより、防音効果の高い浮き床構造を簡単に構築できます。
壁・天井の騒音対策
壁の場合、内装仕上げ材として貼るだけで簡単に仕上げられる防音材や、壁の遮音性能を高める防音下地材、断熱性にも優れた壁の中に入れる吸音材など、さまざまな対策法が考えられます。
では用途別に、おすすめの防音材を紹介します。
- 用途別おすすめの防音材
- ・壁・天井面に貼れる防音材…ガラスクロス(吸音ボード)、ウレタンスポンジなど
- ・防音下地材…ゴム製遮音シートなど
- ・壁の中・天井裏に入れる防音材…グラスウールボード(吸音ボード)、ロールタイプのグラスウールなど
また、遮音材と吸音材を組み合わせた防音ボードを下地の上に施工することにより、防音効果を高める手法もあります。
オフィスの騒音対策
オフィスの騒音対策では、高い遮音と簡単に組み立てられることが求められます。
オフィスでのあらゆるシチュエーションで使える防音材について紹介していきます。
用途別におすすめの防音材をまとめました。
- 用途別おすすめの防音材
- ・作業スペースの確保…ウレタンフォーム、グラスウール、ポリエステル繊維、テクセルSAINTなど
- ・フロアのパーティション…ウレタンフォーム、グラスウール、ポリエステル繊維、ハニカムパネルなど
- ・卓上の仕切り、パーティション…ポリプロピレンなど
オフィスでは他人の声やノイズが多いため、一人ひとりが作業に集中できる環境づくりが大切です。
そんなときには、ブースタイプの吸音材がおすすめです。
ハウリングやエコーが発生しにくい素材となっています。
組立も設置も簡単にできるものであれば、オフィス内でリモート会議やテレビ会議をしなければならないときも重宝するはずです。
また、狭いオフィスなどの場合、商談スペースや個人のスペース確保するのが難しい場合があるでしょう。
そんなときには、パーティションタイプの吸音材がおすすめです。
レイアウトに合わせて、自在に設置ができます。
キャスターが付いているものであれば移動も簡単なのも嬉しいポイントです。
工場内や工場で使われる機械の騒音対策
工場内や工場で使われる機械の騒音対策では、一般的な防音対策に比べ、不燃性や難燃性、高い遮音が求められます。
用途別におすすめの防音材をまとめました。
- 用途別おすすめの防音材
- ・ドアの防音…高遮音性と高気密性を兼ね備えたスチール製防音ドアなど
- ・工場の内装仕上げ…ガラスクロス(不燃性吸音ボード)など
- ・防音カバー内・クリーンルーム内の内張…ウレタンスポンジ(難燃性吸音材)など
- ・機械の衝撃音・防音室自体の防振…防振ゴム製マットなど
- ・工場の壁面や天井の防音下地材…ゴム製遮音シートなど
工場の機械の騒音対策では、工場の近隣の方に対する騒音だけでなく、工場内で働く方々に対する労働環境の改善、騒音対策も重要です。
工場の屋外に設置される廃棄ダクトなどの機械類の騒音により、近所からクレームがくるケースもあります。
そんなときには、機械自体をアルミやグラスウールなどの防音材で直接囲み、発生する騒音を軽減させましょう。
施工前と比べると、約13dBほどの防音効果が期待できます。
また、粗破砕機・研磨機などを使用する工場では、機械の稼働音による騒音により、工場内の作業者が苦しむケースも少なくありません。
会話や電話もできず、騒音を消すためにヘッドフォンなどを着用することもあります。
そんなときには、アルミフレームや樹脂フレームなどで機械を囲い、音を軽減しましょう。
そのほかにも、大きな機械のそばで検査作業などを行う場合には、作業者用のブースキットを設置するのもおすすめです。
そのほかにも、工場内でレイアウト変更や、頻繁に取り外し・持ち運びなどがある場合には、簡単に動かせるような防音材がほしいという声も聞かれます。
そんなときには、軽くて安全に運べる「テクセルSAINT」のパネルがおすすめです。
メンテナンスや清掃で脱着が楽にできる防音材として重宝されています。
粉砕機、金属加工、ブロワー・モーターなどさまざまな対象で使われています。
用途に合わせた正しい騒音対策を
いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでいただくことで吸音材と防音材の違いや用途に合わせた防音材の選び方がご理解いただけたと思います。
さまざまな防音方法を組み合わせ、環境に合わせた正しい騒音対策を行うことが大切です。
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