2022.2.24

防音対策で知っておきたい専門用語や表現を詳しく紹介

防音対策を実施することで、室内の音が外に漏れることや、外から聞こえてくる音を抑える効果が期待できるでしょう。

しかし、防音対策の方法について書かれた記事を見てみると、さまざまな専門用語が使われていることから、内容が難しいと感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

そこで本記事では、防音対策にまつわるさまざまな用語を解説します。

工場やオフィスへの防音対策を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。

 

 

目次

 

 

防音対策でよく出る用語とは?

 

防音対策について調べてみると専門性の高い用語がでてくることがあるため、用語が分からないとスムーズに内容が理解できないことがあります。

防音対策においてよく出てくる以下の用語を押さえておくことで、防音対策が行いやすくなるでしょう。

 

 

音圧

 

音圧とは、空気の重さで生まれる大気圧から加えられる圧力の変化のことです。

音圧は音の大きさを表しており、単位はdBが使用されます。

 

 

周波数

 

周波数とは、1秒間に繰り返される波の数を示すもので、単位はHzが使用されます。

周波数は音の高さに関係していて、波が少なければ低音に、多ければ高音に聞こえます。

 

 

吸音率

 

吸音率とは、物に音が入射した際に、反射・透過をせず吸収されたエネルギーの比率のことです。

音の反射や透過が多いほど、吸音率は低くなります。

 

 

透過損失

 

透過損失とは、壁や床が音をどれほど遮るかを表すもので、単位として使用されるのはdBです。

遮音性能に優れた材質になるほど透過する音は少なくなり、透過損失が大きくなります。

 

 

質量則

 

質量則とは、壁の1平米あたりの質量が大きい、または周波数が高いほど透過損失が大きくなる法則のことです。

 

 

遮音等級

 

遮音等級とは、建物の遮音性能がどのようなレベルなのか表すものです。

壁の遮音性能を表す等級をT値、床の遮音性能を表す等級をL値と呼びます。

 

 

音の3要素とは?

 

音を構成している要素には、「音の大きさ」「音の高さ」「音の音色」の3つがあります。

それぞれの内容は以下のとおりです。

 

 

要素①:音の大きさ

 

音の大きさは、音圧とよばれる、空気の圧力が変化する力の強さによって決まります。

そもそも音とは、空気が振動することによって生じる波が人間の耳に届くことによって感知できるものです。

この空気の振動の波のことを音波といいます。

 

音波には振れ幅があり、幅が大きいほど空気の圧力の変化が高まることで大きな音となります。 反対に、振れ幅が小さいと小さな音として聞こえるという仕組みです。

 

また、音圧を表す国際的な単位をデシベル(dB)といいます。

一般的な生活騒音における音の強さの目安を、デシベルを用いて以下にまとめました。

 

生活騒音における音の強さの目安

    • ・130dB以上:大砲の至近距離、ジェットエンジンの近く
    • ・120dB:飛行機エンジンの近く
    • ・110dB:自動車のクラクション、ヘリコプターの近く
    • ・100dB:電車が通過しているときのガードレール下
    • ・90dB:騒々しい工場内、犬の鳴き声
    • ・80dB:地下鉄の車内、ピアノの音
    • ・70dB:電話のベル、掃除機
    • ・60dB:通常の会話、チャイム
    • ・50dB:静かなオフィス
    • ・40dB:図書館
    • ・30dB:郊外の深夜
    • ・20dB:木の葉のふれあう音

     

    音は音源から離れるにしたがってエネルギーが拡散し、音圧レベルが減少していくという性質をもっています。

  • 100dB以上の音圧は、聴覚機能に異常をきたす可能性があるほどの音です。
  • 人が騒音と感じない理想的な音のレベルは40~60dBで、日々の生活の中で静かだと感じる音は一般的に45dB以下といわれています。

 

 

要素②:音の高さ

 

音の高さは周波数によって決まり、音域は7種類に分けられています。

周波数の数値が大きいほど高音になり、小さいと低音になります。

音域の種類は以下のとおりです。

 

周波数によって異なる音域の種類

  • ・超低音域(16~40Hz)
  • ・低音域(40~160Hz)
  • ・中低音域(160~320Hz)
  • ・中音域(320~2,600Hz)
  • ・中高音域(2,600~5,000Hz)
  • ・高音域(5,000~10,000Hz)
  • ・超高音域(10,000Hz以上)

 

人が音として聞こえる周波数(20~20,000Hz)のなかで、騒音と感じやすい音域は31.5~8,000Hzの音といわれています。

 

 

要素③:音の音色

 

音色は音波の質で変わり、音圧や周波数が同じであっても、音が発せられる物の鳴り方や材質によって異なる音に聞こえます。

そもそも音色とは、音の感覚的な特性のことで、楽器や人の声といった発声体によって異なる音の色あいのことです。

 

また、音が鳴ったときに、基本となる周波数のほかに2倍、3倍と倍の周波数の振動がいくつか生じます。 この振動のことを倍振動と呼び、それぞれの音のことを倍音と呼ぶのです。

 

 

音の単位とは?

 

音を表す単位は、「デジベル」「ヘルツ」の2つがあります。

それぞれの内容は以下のとおりです。

 

 

音の単位①:デジベル

 

デシベルは「dB」と表記され、音圧や振動などさまざまな分野で使われる単位です。 人が聞き取れる一番弱い音を0dBとし、音が大きいほど数値も高くなります。

 

 

音の単位②:ヘルツ

 

ヘルツとは音の高さ(周波数)の単位のことで、「Hz」と表記されます。 人が聞き取れる周波数は20Hzから20,000Hzとされており、音が高いほど数値も高くなります。

 

 

音の伝わり方の種類とは?

 

機械から鳴る「ピーピー」というアラームや、部品を床に落としたときの「カラン」という音はいずれも同じ“音”ですが、発生する仕組みや伝わり方はそれぞれ異なります。

音は、その伝わり方によっていくつかの種類に分けられるのです。

 

音の伝わり方の種類は以下のとおりです。

 

 

種類①:空気伝搬音

 

空気伝搬音とは、音が空気中に放射され、空気の振動として伝わる音のことです。

たとえば、人の話し声や楽器の音、テレビのスピーカーから聞こえてくる音声などの音がこれに当てはまります。

 

 

種類②:固体伝搬音

 

固体伝搬音とは、建物などに衝撃が与えられて振動して伝わった先で、空気中に放出される音のことをいいます。

たとえば、床を歩いた時の音、ドアの開閉音、物が落ちた時の音や、機器などの稼働音などの音がこれに当てはまります。

 

 

種類③:液体伝搬音

 

液体伝搬音とは、水をはじめとした液体をとおして伝わる音のことです。

たとえば、海の中で魚が泳ぐ音や、潜水艦のソナーの音などがこれに当てはまります。

 

液体伝搬音は、流動的な性質を持ち合わせており、外部から力を加えたときに生じる弾性変化の応力とひずみの割合が、空気中よりも水中のほうが大きいといった特徴もあります。

そのため、空気中よりも水中のほうが4~5倍のスピードで音が伝わるのです。

 

さらに、水中の音は空気中と比べて伝搬経路が複雑であるため弱まりにくく、遠くまで伝わりやすいという性質があります。

 

 

種類④:重量床衝撃音

 

重量床衝撃音とは、重い物による衝撃音のことです。

たとえば、タンスやテーブルを設置した際の「ズシン」という音や、子どもが走り回った際に下の階に伝わる音などがこれに当たります。

 

 

種類⑤:軽量床衝撃音

 

軽量床衝撃音とは、軽くて小さな物による衝撃音のことです。

たとえば、硬貨やカトラリーが落下した際の音や、靴が床に当たった際の足音などがこれに当たります。

 

 

防音対策で使われている方法とは?

 

音の伝わり方にはいくつかの種類があるため、“どのような音を防ぎたいのか”によって行うべき防音対策は異なります。

たとえば、部屋の中の話し声が外に漏れ出すことを防ぎたいのか、それとも機械から発生する個体伝搬音を軽減させたいのかによって、適切な防音対策は変わります。

 

以下に、防音対策の4つの方法をまとめました。

 

 

防音対策①:吸音

 

吸音とは、音を吸収する効果のある“吸音材”と呼ばれる素材を任意の場所に取り付けることで騒音を吸収し、音漏れや反響音を軽減させる方法です。

 

吸音材には、ミニソネックスやグラスウールといった無数の細かな穴があいている素材が使われます。

この穴のなかを音が通るときに、摩擦によって音が熱エネルギーに変換されることで小さくなるという仕組みです。

 

 

防音対策②:遮音

 

遮音とは、音をはね返す効果のある“遮音材”と呼ばれる素材を取り付けることで、本来ならば壁のすき間から外に漏れ出す音を遮断することにより音漏れを防ぐ方法です。

 

遮音材には、コンクリートや石膏ボードといった密度が高く硬い素材が使われます。

音には部屋の壁などの物体をすり抜ける性質がありますが、音を通しにくい性質である遮音材を取り付けることで、音を外に逃がさず内側にはね返すという仕組みです。

 

 

防音対策③:防振

 

防振とは、機械から建物に伝達される振動をできるだけ小さく抑える方法です。

振動の伝達を小さくする防振材には、柔軟性のあるプラスチックやゴムなどが素材に使われることが多く、床材や壁などに使うと効果的です。

 

 

防音対策④:制振

 

制振とは、振動している機械や壁に揺れをおさえる素材を使用し、音の発生を防ぐ方法です。

主な素材には、ゴムシートや鉛シートなどが使われています。

 

 

工場の防音対策で知っておきたい用語

 

工場の防音対策を実施する際は、用語を知っておくことで作業がスムーズに進みやすくなることでしょう。

工場の防音対策で知っておきたい用語には以下のものがあります。

 

 

低周波騒音

 

低周波音とは、大型の乗り物や機械などから発生する低い音のことです。

一定値を超え、人に圧迫感や不快感を与えるほど大きい低周波音のことを低周波騒音といいます。

低周波騒音によって、家屋の窓や戸が揺れることや建具に影響を与えることもあります。

 

 

暗騒音

 

暗騒音とは、測定したい対象物から発生する音以外で同時に存在している音のことです。

たとえば、ある機器の騒音を調査する場合、対象機器が作動している際の音と機器を作動させずに測った暗騒音を比較することで、機器単体の騒音の推定が可能です。

 

個々の機器単体の騒音を推定することで、それぞれの騒音のレベルに対して適切な防音対策を行うことができます。

 

 

マスキング

 

マスキングとは、ある音が別の音をかき消してしまうという音の性質のことで、これを利用した防音方法が存在します。

工場やオフィスなどで活用されることがあり、有効に取り入れることで、防音効果を高めることができます。

マスキングについて詳しく知りたい方は下記の記事を参考になさってください。

 

音のマスキングとは?効果や使用する場面を紹介

 

 

さまざまな専門用語を知っておくことでスムーズに防音対策が実施できる

 

いかがでしたでしょうか。

防音対策にはさまざまな専門用語や方法があるため、防音対策の内容や方法がよくわからないという方もいらっしゃるかと思います。

防音対策について分からない単語や用語あった際は、ぜひ当記事を参考にしてみてください。

 

 

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