2021.9.1工場騒音(機械騒音)対策
リサイクル業者になるための注意点とは?においや騒音対策も重要
この記事では、これからリサイクル業を始めようと検討している人に向けて、その概要や事業の始め方、参入時の注意点などを紹介していきます。
リサイクル業は、廃棄されたものを再び利用できるように試みていく事業で、環境や社会に対して大きな役割を果たします。
その特徴から、企業価値を高める側面ももっており、2015年時点で約4兆円の市場規模をもつ分野です。
リサイクル業の分類は多種多様で、企業ごとにさまざまな展開がなされています。 どの分野に参入するかで取得する資格や設備が異なるため、事前に要件を確認しておくことが大切でしょう。
これからリサイクル業への参入を検討している方は、ぜひご一読ください。
リサイクル業とは
リサイクル業は、廃棄物としていったんは捨てられた資源を再利用していく事業です。
近年は温暖化など地球環境の悪化から、循環型社会の実現に向けた取り組みも活発化しており、新規事業としてリサイクル業を検討する企業も増えています。
今後は国内だけでなくアジア諸国やアフリカなど、人口増加が見込まれる国々を中心とした海外での市場拡大も期待されており、なかでも素材リサイクルの市場規模は2050年に約15兆円に成長すると予測されています。
ひと口にリサイクル業といっても、事業内容はいくつかの種類に分かれているため、以下で一例を紹介していきましょう。
素材リサイクル
廃車になった自動車や使い終わったプラスチックなどの製品から、再利用できる素材を抽出して再商品化するのが素材リサイクル事業です。
なかでも自動車などに多く含まれている「メタル」は、さまざまな業界が注目を集める素材です。
そのため、メタルを取り扱うリサイクル業には多くの大企業が参入しており、複数の特許を取得しているところも少なくありません。
このように、日本のメタルリサイクル技術は優れているため、今後もさらなる発展が期待されています。
工場をもつ中小製造企業は、ビジネスフローがすでに確立している企業と提携すると参入ハードルが下がりやすいでしょう。
不用品回収
家庭ごみとして処分できない壊れた家電製品や家具などを回収し、再利用していくのが不用品回収業です。
国内でも市場は確立していますが、フィリピンやアフリカなどの海外諸国に輸出するとより高値での取引が期待できます。
これらの国々には、壊れた家電製品を再販可能にする修理技術をもつ人がいるため、販売ネットワークが構築できればより大きな利益を手にすることも可能です。
参入にあたっては、すでに海外ネットワークを確立している業者と取引できると、輸出の手続きなどにかかる負担を軽減できるでしょう。
リサイクルショップ
リサイクルショップは、まだ使える家電製品や家具などを再販売する事業です。
ほかのリサイクル業と比べると参入ハードルが低めですが、事業を軌道に乗せるためには出店エリアの調査や取扱商品の選定、仕入れのルートなどを確立していく必要があります。
近年はリユース商品をオンライン上で取引することも増えているため、インターネットのオークションなどを使った販売方法も合わせて検討するとよいでしょう。
太陽光発電
廃棄物を再利用するだけでなく、自然エネルギーを活用していくこともリサイクル業の1つです。
太陽光発電は、自社の不動産の屋根や購入済みの土地にパネルを設置することで、売電収入が得られます。
1度設置してしまえば継続的な人件費がかからないため、企業の副業にも適した事業です。
日照条件や天候に左右されるため設置場所の検討を十分に行い、将来的な利益を専門業者に算出してもらうなど、事業戦略を練ってから参入しましょう。
リサイクル業を始めるための準備
素材リサイクルや自然エネルギーなど、リサイクル業の種類は多岐にわたります。
しかし、ほとんどの分野で共通しているのは、事前に必要な機関から許可を取ることです。
たとえば、素材リサイクルであれば各種「処理業」、不用品回収であれば「一般廃棄物収集運搬業許可」や「古物商許可」などを取得する必要があります。
個人と法人では審査の対象が変わることもあるため、事前に自社で検討しているリサイクル事業の要件を確認しておきましょう。
また、専用の設備が必要な事業では、機器の購入や設置場の確保なども必要です。
気を付けたい労働環境
経済産業省の循環経済ビジョン研究会が行った調査によると、リサイクル業では人材不足や制度改正による経営コストの増加などが今後の課題に挙がっています。
また、作業を行う上では、労働環境への配慮も欠かせません。
事業を展開していくときには、次のような環境整備にも尽力しましょう。
におい
素材リサイクルのように完成した製品を再利用していく過程には、粉じんや臭気を放つ工程が含まれていることもあります。
とくに、においの感度は個人間での差が大きいため、従業員への配慮はもちろん、周辺住民からも苦情が発生しないような管理体制が必要です。
しかしながら、日々同じにおいを嗅ぎ続けている作業者が臭気の観測を行うと、においに慣れていることにより感度が鈍くなっていることもあります。
そのため、臭気の観測は人の感覚だけに頼らず、客観的に評価する体制を構築していくことが肝心です。
簡易的な測定機器を導入すれば、風向きや風速によっても変化するにおいの分布が把握しやすくなり、客観的な評価をもとに管理が行えるでしょう。
労働時間
多くの業界同様、リサイクル業も人材確保が課題として挙げられています。
夜間に設備を稼働させている企業では、夜に働く抵抗感の広がりから、十分な人材を確保できないことも少なくありません。
こうした労働時間に関わる環境を整備することは、人材確保の点でも重要でしょう。
また、金属加工機械や各種粉砕機などを使う必要がある工場では、時間帯ごとに決められた騒音レベルを守らなければなりません。
工場の場所によって第1種区域から第4種区域まで分かれており、その基準は区域ごとに異なるため、法令にならった作業時間を守る必要があるでしょう。
騒音
著しい騒音は、近隣住民の健康や気分を害することもあるため、法令による規制があります。
次の機器を有する企業は特定施設と呼ばれ、同法令の対象です。
- 騒音の規制対象となる機器
- ・金属加工機械 ・空気圧縮機、送風機
- ・粉砕機、摩砕機、分級機
- ・織機
- ・建設用資材製造機械
- ・穀物用製粉機
- ・木材加工機械
- ・抄紙機
- ・印刷機械
- ・合成樹脂用射出成型機
- ・鋳型造型機
上記の機器を有する企業は工場の所在地によって、日中と朝夕、夜間で発生できる騒音の大きさが決められているため、法令を考慮する必要があるでしょう。
また、こうした著しい騒音対策には、防音に特化した技術をもつメーカーに相談することも1つの方法です。
法令の基準を逸脱する機器があった場合やできるだけ音を抑えたいときには、防音技術をもつメーカーに相談してみましょう。
労働環境を気にするだけでなく騒音規制法もチェック
前の項目で少し触れた騒音に関する法令を守らない場合、工場所在地の自治体から改善の勧告や命令がくるばかりか、罰則となる可能性もあります。
そのため、工場を使用するときには、法令について理解し遵守することが大切なのです。
騒音規制法について
この法令は「騒音規制法」と呼ばれ、生活環境や健康を保護する昭和43年に制定されたものです。
工場や事業所だけでなく、建設作業や自動車に対しても規制することを定めています。
騒音の規制対象となる機器を有する工場の場合、施設を設置する30日前までに届け出を行う必要があります。
届け出がないと罰則を受けることもあるので、余裕をもって手続きを行ってください。
騒音規制法で定められている騒音の大きさと時間
騒音規制法では、区域ごとに昼間、朝と夕、夜間それぞれの騒音の大きさに基準が定められています。
詳しく見ていきましょう。
- 区域の種類
- ・第1種区域…住居を中心とした低層の建物が多い区域
- ・第2種区域…周辺にマンションなどの中高層の住居が多くある区域
- ・第3種区域…近隣に商業施設や中小工場を建設できる区域
- ・第4種区域…工業地域
区域によって、作業期間ごとの騒音の大きさの基準が変わってきます。
- 作業時間ごとの騒音の大きさ
- ・第1種区域…(昼間)45~50㏈(朝・夕・夜間)40~45㏈
- ・第2種区域…(昼間)50~60㏈(朝・夕)45~50㏈(夜間)40~50㏈
- ・第3種区域…(昼間)60~65㏈(朝・夕)55~65㏈(夜間)50~55㏈
- ・第4種区域…(昼間)65~70㏈(朝・夕)60~70㏈(夜間)55~65㏈
このように、工場を建設する予定の区域や時間帯によって、騒音の音量基準が異なってきます。
規制対象の機器を使用するか、どのエリアに工場を建設する予定なのか、どういった時間帯に稼働するかなどを事前に確認しておきましょう。
ここで挙げた数値やあくまでも目安となる基準なので、詳しく知りたい場合には各自治体に問い合わせてください。
リサイクル業への参入には適した対策が欠かせない
いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでいただくことで、リサイクル業に参入する上での注意点がご理解いただけたと思います。
労働環境や住民生活保全のため、そして法律違反して罰則を受けないためにも、リサイクル業者にとって騒音対策は重要です。
においや騒音の対策を行うときには、それぞれの技術をもつメーカーに相談しましょう。
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