2026.1.19

防音吸音材の選び方は?設置方法別の選び方と素材ごとの特徴

工場やオフィス、防音室など、様々な場所で発生する騒音問題は、企業にとって重要な課題です。特に、外部への音漏れ対策や反響音の調整には、吸音材が欠かせません。しかし、「どのような吸音効果や吸音性能を持つ素材を選べばいいのか」「どこに、どう設置すれば良いのか」と悩まれる方も多いのではないでしょうか。

 

本記事では、企業の騒音対策担当者様向けに、吸音材の基礎知識から、主要な素材ごとの吸音効果・吸音性能、さらには設置場所や用途に応じた具体的な選び方まで、詳しく解説します。この記事を読めば、貴社に最適な吸音材を見つけ、効果的な騒音対策を実現できるでしょう。

 

 

目次

 

 

防音吸音材の基礎知識と役割

 

防音材は、読んで字のごとく音を防ぐための部材です。主な防音材には4つの種類があり、それぞれが異なる吸音効果や吸音性能を発揮します。まずは、これらの防音材の種類と役割を理解し、特に騒音対策の要となる吸音材について深く掘り下げていきましょう。

 

    ○防音材の主な種類

  • 吸音材:音を吸収し、反響音を抑える
  • 遮音材:音を遮断し、外部への音漏れを防ぐ
  • 防振材・制振材:振動の伝達を抑える

 

これらの違いを理解することで、より効果的な騒音対策が可能となります。それぞれの特徴について、次で詳しく解説します。

 

○吸音材の仕組み:空気の振動と吸音効果

 

吸音材は、音のエネルギーを吸収し、反響音を軽減する役割を持つ部材です。私たちが耳にする「音」の正体は、空気の振動(音波)です。吸音材は、この空気の振動エネルギーを効率よく熱エネルギーに変換することで、音を減衰させる吸音効果を発揮します。

 

具体的には、吸音材の内部に存在する無数の微細な空隙に音波が入り込む際、空気の分子と素材の繊維が摩擦を起こします。この摩擦によって音波のエネルギーが熱に変換され、音が吸収されるのです。この仕組みから、吸音材の内部構造や素材の密度・厚みが、特にどの音域で高い吸音効果を発揮するかに大きく影響します。

 

吸音材は、室内の反響音や音の響きを調節するだけでなく、壁や天井などの内側に設置することで、外部への音漏れ軽減にも貢献します。吸音材を選ぶ際には、その吸音性能を示す吸音率を確認し、過剰な吸音による「不自然な響き」を避けるためにも、最適な吸音率を持つものを選ぶことが重要です。

 

素材には、ウレタンスポンジ、グラスウール、フェルトなどが代表的ですが、それぞれの素材が持つ特性を理解し、目的の吸音効果・吸音性能に合わせて選ぶことが大切です。

 

 

主要な吸音材素材の種類と吸音性能を徹底解説

 

吸音材には様々な素材があり、それぞれが異なる特性と吸音性能を持っています。ここでは、代表的な素材の吸音性能、メリット・デメリット、推奨される用途について詳しく解説します。

 

 

グラスウール

 

グラスウールは、ガラス繊維を綿状に加工した素材です。非常に高い吸音性能と不燃性を持ち合わせ、比較的安価で軽量なため、工場や体育館などの大規模施設の壁や天井の吸音材として広く使用されています。

 

吸音性能: 高い(特に中高音域)

 

○メリット

 

高い吸音性、不燃性、軽量、コストパフォーマンスに優れる

 

○デメリット

 

繊維が飛散しやすいため、施工時に適切な保護具が必要。吸湿性がある。

 

○推奨用途

 

工場の壁・天井、防音室の内装、体育館、機械室の吸音・断熱

 

 

ロックウール

 

ロックウールは、玄武岩などの天然鉱物を高温で溶かし、繊維状に加工した素材です。グラスウールと同様に非常に高い吸音性能と不燃性を持ち合わせています。さらに、耐久性や耐熱性にも優れるため、高温になりやすい環境や、湿気がこもりやすい場所での吸音材としても適しています。

 

吸音性能: 高い(特に中高音域)

 

○メリット

 

高い吸音性、不燃性、耐久性、耐熱性、防湿性

 

○デメリット

 

繊維が飛散しやすいため、施工時に適切な保護具が必要。

 

○推奨用途

 

工場の壁・天井、防音室、機械室、ボイラー室の吸音・断熱

 

 

ウレタンフォーム

 

ウレタンフォームは、ポリウレタン樹脂を原料とした多孔質のフォーム素材です。軽量で加工しやすく、様々な形状に成形できるため、デザイン性の高い吸音材製品に多く用いられます。比較的手軽に導入できるため、オフィスや一般住宅の防音室などでもよく見られます。

 

吸音性能: 中程度(特に中高音域)

 

○メリット

 

軽量、加工しやすい、デザイン性が高い、比較的安価

 

○デメリット

 

不燃性に劣るものが多い(防炎加工品もある)、耐久性は他の繊維系素材に比べやや劣る、経年劣化で変色しやすい

 

○推奨用途

 

オフィス、会議室、簡易的な防音室、機械カバー、スピーカーの内部

 

 

ポリエステル繊維

 

ポリエステル繊維を圧縮成形した素材で、安全性と加工のしやすさが特徴です。リサイクル可能で、繊維が飛散しにくいため、アレルギーの心配が少なく、施工時の取り扱いが非常に容易です。カラフルな色合いの製品も多く、デザイン性を重視する場所でも採用されます。

 

吸音性能: 中程度(中音域中心)

 

○メリット

 

安全性が高い、加工しやすい、リサイクル可能、デザイン性が高い、耐湿性

 

○デメリット

 

グラスウールやロックウールに比べ吸音性能はやや劣る、不燃性に劣るものが多い(防炎加工品もある)

 

○推奨用途

 

オフィス、会議室、学校、病院、イベントスペース、簡易的な防音室の内装

 

 

その他の素材

 

上記以外にも、用途や求められる特性に応じて様々な吸音材が利用されています。

 

木毛セメント板: 木材繊維とセメントを主原料とする板状の製品。高い吸音性と防火性を持ち、独特の意匠性からデザイン重視の空間に採用されます。

 

○多孔板・有孔板

 

木材や金属板に多数の穴を開けたもので、背後に空気層を設けることでヘルムホルツ共鳴器の原理により特定の音域の吸音効果を高めます。

 

○フェルト

 

羊毛や合成繊維を圧縮して作られ、軽量で加工が容易。主に簡易的な吸音材や、デザイン性を重視した吸音材製品に使用されます。

 

テクセルセイント

 

軽量・高剛性の特徴を持つハニカム構造体かつ、多孔質吸音材との組み合わせで、中音域以上の広い音域を吸音することができ、工場やオフィスの防音にも使用されています。

 

 

設置場所・用途別!最適な吸音材と選び方

 

吸音材の効果を最大限に引き出すためには、設置場所や用途に応じた適切な素材・製品を選ぶことが不可欠です。ここでは、具体的な利用シーンを想定し、最適な吸音材とその選び方を紹介します。

 

 

工場の壁対策:内装仕上げ材としての選択肢と施工例

 

工場の壁は、外部への騒音漏れや内部の反響音対策において最も重要な箇所の一つです。壁の構造に応じた吸音材の選定と施工が求められます。

 

○コンクリート壁の場合

 

厚手の吸音材製品(吸音ボードなど)を直接接着することで高い吸音効果が得られます。グラスウールやロックウール製のボードが有効です。

 

○軽量鉄骨下地壁の場合

 

グラスウールやロックウールを充填した上で石膏ボードなどの遮音材と組み合わせる二重構造が吸音性能を高めます。

 

○施工のポイント

 

壁と天井、壁と床との境界部分の隙間は音漏れの大きな原因となるため、コーキング材や防音テープを用いた徹底した隙間対策が不可欠です。

 

 

オフィス・施設の壁対策:吸音パネルやパーテーションの活用

 

オフィスや施設では、デザイン性と機能性を両立させた吸音材の導入が求められます。

 

○オープンオフィス

 

天井や壁にデザイン性の高い吸音パネルを設置することで、会話の反響音を抑え、集中しやすい環境を創出します。

 

○会議室

 

吸音材を内装仕上げ材として用いることで、会話の明瞭度を保ちつつ、外部への音漏れを軽減します。

 

○パーテーション

 

キャスター付きの吸音材入りパーテーションは、レイアウト変更が容易でフレキシブルな騒音対策が可能です。

 

 

防音室の構築に役立つ吸音材の選定

 

レコーディングスタジオや試験室、楽器練習室など、高い遮音性と優れた吸音効果が求められる防音室では、吸音材の選定が特に重要です。

 

○吸音材の配置

 

防音室の壁や天井に吸音材を均一に配置することで、フラッターエコー(音の耳障りな反響)を防ぎ、クリアな音響空間を実現します。

 

○素材の組み合わせ

 

グラスウールやロックウールといった高性能な素材を主に使用し、ウレタンフォームやポリエステル繊維を部分的に組み合わせることで、幅広い音域での吸音効果を最適化します。

 

○吸音率の調整

 

防音室の用途に応じて、最適な残響時間となるよう吸音率を調整することが重要です。

 

 

その他利用シーン(機械室、ブースなど)における選び方

 

工場やオフィスでは、機械からの騒音対策や、集中作業用のブースなど、特定の用途に合わせた吸音材製品が求められます。

 

1.機械・設備からの騒音対策

 

騒音源となる機械自体に吸音材を施すことで、効果的に騒音の拡散を抑制し、作業環境を改善します。

 

 

ボックス型吸音材

 

○特徴

 

騒音源の機械全体を囲む吸音材製品。幅広い音域で高い吸音効果を発揮し、作業動線を考慮したドア付きタイプも。

プレス機の工場騒音対策事例

 

○素材例

 

加工しやすいウレタンフォーム。より高い吸音性能にはグラスウールやロックウールを内装に。耐薬品性や耐久性を考慮した素材も選択肢。

 

パーテーション型吸音材

 

○特徴

 

機械全体を囲えない場合に、騒音源の周辺に配置するタイプ。キャスター付きでレイアウト変更も容易。

 

○素材例

 

ウレタンフォーム、グラスウール。幅広い音域への対応には有孔ボードとの組み合わせも有効。

 

 

2.簡易ブース・卓上ブース

 

本格的な防音室が難しい場合や、一時的な集中スペースとして、簡易ブースや卓上ブースが有効です。

 

簡易ブース 【REMUTE(リミュート)シリーズ】 

簡易ブース 【GAMEBOX】

卓上ブース 【REMUTE(リミュート)シリーズ】 デスクブース

 

 

簡易ブース型吸音材

 

○特徴

 

個人スペースを確保し、周囲の騒音を軽減する囲い。残響を抑え、集中しやすい空気環境を作る。

 

○素材例

 

軽量で扱いやすいメラミンフォーム吸音材。断熱性も兼ね備え、意匠性も高い。

 

 

卓上ブース型吸音材

 

○特徴

 

デスク上に設置する折りたたみ式で、手軽に個人作業スペースを確保。

 

○素材例

 

軽くて薄いフェルト素材。吸音効果に加え、メモ留めなどの実用性も。

最適な吸音材製品を選ぶには、設置場所の広さ、必要な吸音性能、予算、そして「どの程度の騒音を、どれだけ軽減したいか」という具体的な目的を明確にすることが重要です。

 

 

失敗しない吸音材選び:製品タイプと吸音率のチェックポイント

 

多種多様な吸音材の中から最適な一つを選ぶことは、一見複雑に思えるかもしれません。しかし、いくつかの重要なポイントを押さえることで、失敗することなく、貴社のニーズに合った吸音材を見つけることができます。

 

吸音材製品の主な種類と特徴

 

吸音材は、素材だけでなく、様々な製品タイプとして提供されています。

 

○吸音ボード型

 

グラスウールやロックウール、ポリエステル繊維などを板状に成形したもの。壁や天井に直接貼り付ける施工が容易で、高い吸音性能を発揮します。

 

○吸音シート型

 

薄く柔軟な素材で、曲面に貼り付けたり、隙間に挿入したりするのに適しています。機械のカバーや、防音室のドア・窓の隙間対策にも活用されます。

 

○吹き付け吸音材

 

繊維系の素材を壁や天井に直接吹き付けるタイプ。高いデザイン性と、継ぎ目のない仕上がりが特徴です。

 

○吸音パーテーション

 

キャスター付きなどで移動可能な、吸音材を内蔵した間仕切り。レイアウト変更が多いオフィスなどで活用されます。

 

 

吸音率とは?吸音性能比較の重要性

 

吸音材の吸音性能を示す最も重要な指標の一つが「吸音率」です。

 

○吸音率の定義

 

音のエネルギーのうち、吸音材によって吸収される割合を0から1の間の数値で表します。例えば、吸音率が0.8であれば、音のエネルギーの80%を吸収することを意味します。

 

○音域ごとの違い

 

吸音率は音の高さ(周波数)によって異なるため、吸音材製品のデータシートでは、複数の周波数帯域における吸音率が示されています。貴社の騒音問題がどの音域で発生しているかを特定し、その音域で高い吸音率を持つ吸音材を選ぶことが重要です。

 

○性能比較のポイント

 

吸音材を選ぶ際は、素材や製品タイプだけでなく、この吸音率(特に問題となる音域の吸音率)と、難燃性、耐久性、施工性、デザイン性などの総合的な吸音性能を比較検討することが、失敗しない選び方の鍵となります。

 

数多くの吸音材製品の中から最適なものを選ぶための重要ポイントを簡潔にまとめました。

 

騒音の種類と目的を明確にする

 

どんな音が気になりますか?: 話し声、機械音、部屋の響き(残響)など、具体的な騒音の種類を特定。

どの程度の吸音効果を期待しますか?: 音を「消す」のか「和らげる」のか、目的を明確に。

 

設置場所の環境と素材の特性を考慮する

 

空間環境: 広さ、形状、温度、湿度、火気の有無など。

素材特性: 耐熱性、耐水性、不燃性(ロックウールなど)、安全性、清掃のしやすさ、耐久性を確認。

 

吸音性能(吸音率・NRC値)をしっかり確認する

 

数値で比較: カタログ記載の「吸音率」や「NRC値」をチェック。

周波数特性: 気になる騒音の音域(高音、中音、低音)に効果があるかを確認。

 

施工性とデザイン性も考慮する

 

取り付け方法: DIYの可否、接着、フックなど。

見た目・意匠性: 空間の雰囲気に合う色やデザインを選び、快適な空間を演出。

 

迷ったら専門家へ相談・サンプルを試す

 

専門家のアドバイス: 複雑な場合はメーカーや専門家へ相談。

サンプルで確認: 色味、手触り、厚みなどを実物で確認しましょう。

 

 

まとめ:最適な吸音材で快適な環境を

 

日常生活やビジネスシーンにおいて、私たちが意識せずとも様々な「音」に囲まれています。しかし、その音が過剰であったり、不快な響きを生んだりする時、それは単なる「音」ではなく「騒音」となり、私たちの集中力や快適さを大きく損ねてしまいます。

 

本稿では、そんな騒音問題の解決策として吸音材の重要性とその選び方について詳しく解説してきました。

 

 

吸音材がもたらす変化

 

吸音材は、音を吸収し、その反響や拡散を抑えることで、以下のような様々なメリットをもたらします。

 

○集中力の向上

 

オフィスや学習スペースでの不要な音を抑制し、思考を妨げない静かな空気を提供します。

コミュニケーションの円滑化: 会議室やリビングでの会話の明瞭度が高まり、聞き返しが減り、ストレスのない対話が可能になります。

 

○生産性の向上

 

工場や作業場での機械騒音を低減し、従業員のストレスを軽減し、作業効率を高めます。

 

○リラックス効果

 

ホームシアターや音楽室では、不要な残響が抑えられ、クリアで質の高いサウンドが楽しめます。また、住宅では生活音の響きを和らげ、より安らげる空間を作り出します。

 

○聴覚保護と安全性

 

過度な騒音から聴覚を守り、安全な作業環境の構築に貢献します。

 

 

失敗しない吸音材選びの鍵

 

最適な吸音材を選ぶためには、以下のポイントを押さえることが重要です。

 

○騒音の種類と目的を明確にする

 

何の音が、どの程度気になるのか。完全に音を消したいのか、それとも響きを和らげたいのか。

 

○設置場所の環境を考慮する

 

空間の広さ、形状、温度、湿度、安全性(耐火性など)に適した素材を選びましょう。

 

○吸音性能(吸音率・NRC値)を確認する

 

カタログに記載された数値を参考に、気になる周波数帯に効果があるかを確認します。

 

○施工性とデザイン性も重視する

 

DIYが可能か、空間の雰囲気に合うかなども、快適に使い続ける上で大切な要素です。

吸音材は、単に音を吸収するだけでなく、その空間で過ごす人々の心身の健康、ひいては生活の質や仕事の生産性向上に直結する重要な要素です。

 

もし、どの吸音材を選べば良いか迷ってしまう場合は、吸音材の専門家やメーカーに相談することをお勧めします。

 

最適な吸音材を選ぶことで、これまでのストレスや不快感から解放され、より集中でき、よりリラックスできる、快適な環境を手に入れることができます。ぜひ、あなたの空間に合った吸音材を見つけ、その効果を実感してください。

 

 

岐阜プラスチック工業では、工場やオフィスでの騒音対策をお考えの方のニーズに合わせた最適なご提案をしております。
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