2021.12.27工場騒音(機械騒音)対策
工場勤務の人によくある耳鳴りの原因は?騒音性難聴を防ごう!
工場など大きな音が発生する環境で勤務していて、耳鳴りに悩んでいる方はいませんか?
もしかすると、耳鳴りの原因は騒音性難聴かもしれません。
また、耳鳴りなどの症状はないものの、日々大きな音にさらされていることで、将来的に自身や従業員の耳が悪くならないか、と心配している方も多いでしょう。
工場で騒音が発生するのは当たり前のことだから仕方がない、と諦めないでください!
この記事では、大きな音が発生する工場で働いている方に向けて、騒音性難聴についてまとめました。
耳鳴りのパターンや原因、騒音性難聴を予防する方法なども紹介しています。
騒音性難聴への理解を深め、騒音対策を講じることで、安心して働ける職場づくりの参考にしてみてください。
耳鳴りのパターン
まずは、耳鳴りにはどんな音のパターンがあるのかをいくつか挙げてみます。
軽い症状だったり、常に騒音にさらされていたりすると自分でも耳鳴りがしていると気付いていないケースもあるかもしれません。
以下に思い当たるものがあれば、要注意です。
- 耳鳴りのパターン
- ・「ピ―」や「キーン」といった金属音や機械音のような高音
- ・「ゴー」や「ブーン」といった耳に詰まりがあるような低音
- ・複数の音が入り混じったような雑音
- ・上記以外の音が単音で聞こえる
耳鳴りのパターンは人それぞれで、片耳だけ聞こえたり両耳に聞こえたり、聞こえる音の種類も違います。
また、常に耳鳴りし続けているケースや、何もないときに突然耳鳴りがするケースなどいろいろなタイプがあるようです。
耳鳴りの原因
飛行機の離着陸時やトンネルの中などで、ほとんどの方が耳鳴りを経験したことがあると思います。
この一時的な耳鳴りの原因は急激な気圧の変化で、誰にでも起こる現象です。
しかし、常に耳鳴りがしている、頻繁に耳鳴りがするといった慢性的な症状がある場合は、病気が原因の可能性があります。
耳自体に原因があり耳鳴りを引き起こす病気は、中耳炎や外耳炎、メニエール病などです。
また、脳梗塞や脳腫瘍、高血圧などの病気が耳鳴りにつながることもあります。
その他、老化やストレスも耳鳴りの原因として挙げられるでしょう。
工場勤務の方など、大きな音がする環境下で、長時間大きな音を聞き続けていることが明らかな場合は「騒音性難聴」が疑われます。
激しい音が発生する機械や換気扇などのそばで働いている方は特に、騒音性難聴への注意が必要です。
騒音性難聴とは
常に騒音が発生している環境で働いている方に起こりやすいといわれているのが「騒音性難聴」です。
「職業性疾病」の1つとして指定されていて、別名「職業性難聴」とも呼ばれています。
騒音性難聴を発症するメカニズム
耳の中の目では見えないほど奥に、かたつむりのような形をした蝸牛(かぎゅう)という器官があります。
蝸牛には有毛細胞があり、その細胞が蝸牛のリンパ液の振動を電気信号に変換して脳に伝え、音として認識させる重要な役割を担っているのです。
しかし、大きな音にさらされ続けると、音を伝える役割の有毛細胞がダメージを受け、徐々に壊れることで騒音性難聴を引き起こします。
騒音性難聴の症状と治療法
騒音性難聴になっても、初期の段階では気付かないケースも多いようです。
そのうち耳鳴りがするようになったり、高音域の音が聞きとりにくくなったりといった症状が現れます。
日常生活に支障がないからと対策をせずにいると、次第に会話の相手の声が聞こえなくなるなど難聴が悪化する可能性があるでしょう。
重度の難聴になると、耳のすぐそばで大声を張り上げて話しかけなければ聞こえないほどになってしまうこともあります。
損傷した有毛細胞が再生することはないので、騒音性難聴を改善することはできません。
症状にできるだけ早めに気付き、大音響への対策をすることが重要です。
騒音性難聴を防ぐには
騒音性難聴になることを防ぐためにはどのような対策をすれば良いのかみていきます。
できることから始めて、大切な聴覚を守りましょう。
自分でできる対策
仕事をするうえで大きな音は避けられないという方は、耳栓など、防音のために耳を保護する道具を活用しましょう。
耳栓には、誰の耳にも合うような形状で弾力性のあるゴムやプラスチック製のもの、耳の中で膨らみ使い捨てで衛生的なウレタンフォームタイプなどがあります。
さらなる防音対策としては、イヤーマフを装着するという方法もおすすめです。
ヘッドホンのような形状で、耳全体を柔らかいクッションで覆うタイプで、騒音のレベルに応じて遮音機能を調整できるものもあります。
耳栓と併用することでより大きな防音効果が期待できるでしょう。
ただし、ある程度の音を察知できないと危険な状況などに気付けなかったり、スタッフ間のやり取りが難しくなったりというデメリットもあります。
防音のための道具を活用する際には、騒音レベルや現場責任者への確認をしてから導入してください。
また、休憩時間に音の少ない場所で耳を休める、定期的に耳鼻科で聴覚チェックをするなどして、耳に関心を持ちいたわるようにしましょう。
作業環境の騒音測定
厚生労働省は、騒音性難聴の原因となる騒音環境下で働く労働者のために、事業主に対して騒音レベルの軽減を促すためのガイドラインを策定しています。
ガイドラインによると、著しい騒音を発生させている作業場では、6ヶ月に1回の騒音レベル測定を行わなければいけません。
実際には、8時間以上にわたって85デシベル以上の騒音に5年以上さらされ続けることで、騒音性難聴の発症リスクが高まるといわれています。
そのことから、騒音レベルが85デシベル未満かどうかを定期的に測定し、それに応じて作業環境を整える必要があるのです。
屋内作業場では、設備の配置や作業工程などの変更によっても騒音レベルが変化することがあるので、そのつど測定する必要があります。
騒音軽減のための対策
騒音レベルが85デシベル以上やそれに近いレベルの騒音が発生している場合には、騒音を軽減させるために対策を講じる必要があります。
主な対策は以下の通りです。
- 代表的な騒音対策
- ・騒音発生源への対策
- ・伝ぱ経路の対策
騒音発生源への対策としては、低騒音の機械への買い替えや部品交換、防音カバーや防振ゴムの取り付けなどがあります。
伝ぱ経路への対策は、機械の配置変更や音源の向きを変えるなどです。
また、建物内部に吸音処理をしたり、防音壁や防音室を作ったりといった対策も有効でしょう。
工場での勤務をする際に大切なこと
どんな職場でもそうですが、働きやすい環境づくりはとても重要なことです。
特に、職業性の疾患である騒音性難聴を発症する可能性の高い、大きな音が発生する工場などは、労働者の健康や安全を守る責任があります。
工場の騒音対策は、職場環境を整えるだけでなく、近隣トラブルなどの問題も防げるでしょう。
どこの工場でも、全く同じ対策で騒音を軽減できるわけではありません。
騒音の発生源や発生原因は、機械の種類や配置、環境などさまざまです。
騒音対策専門の業者に依頼して、本格的な騒音対策に取り組みましょう。
騒音対策を万全にして騒音性難聴を予防しましょう
騒音性難聴がどのようなものかお分かりいただけましたか?
また、騒音性難聴を引き起こさないために、工場の騒音対策がどれほど大切かもご理解いただけたかと思います。
労働者の大切な聴覚を守るために安心安全な職場環境づくりに取り組みましょう。
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