2021.9.1生活騒音対策
低周波騒音に有効な対策とは?知っておきたい原因や問題
近年、低周波音による苦情の件数は増加傾向にあります。
これは、メディアに多く取り上げられるようになったことで、低周波音への関心が高まり、また生活の質の向上に伴って生活環境の改善が広く求められるようになったことに起因しています。
低周波音による苦情は、単に音がうるさくて迷惑しているというものではありません。
なかには不眠や頭痛など、生活に支障をきたすような切実な訴えも多くあります。
また、騒音の根源である電気機器の設置後は撤去などが難しいため、根本的な解決につながりにくいのも問題点です。
今回は、そんな低周波騒音の原因から対策まで、詳しく解説します。
実際に低周波音による苦情を受けた人や、低周波音で悩んでいるがどのように対策をすれば良いか分からない人は、ぜひ参考にしてみてください。
低周波音とは
人が耳で聴こえる音は、約20Hz(ヘルツ)の周波数の音から2万Hzまでです 。
その中で、低周波音とは約100Hz以下の音波のことを指し、人の耳では音として捉えられない超低周波音と、20Hzから100Hzの低周波音から成っています。 低周波音にはバスやトラック、船などのエンジン音、波が防波堤にあたる音、大きな滝の水が勢いよく滝つぼに落ちる音などがあります。
低周波騒音の原因
低周波音による苦情の発生源の多くは、住宅地近くの工場や店舗などに設置されている空調室外機、ボイラー、冷凍機、ヒートポンプ給湯器といった電気機器です 。
これらの苦情が発生した個所の室内で観測された低周波は、およそ20Hzから100Hz程度の周波数域に主成分を持つのが特徴と言えます。
ほかにも、道路高架橋や高速鉄道トンネル、ヘリコプターなどの交通機関が騒音の原因になるケースもあります。
低周波騒音による問題
可聴域の下限近い低周波音に長い時間さらされてしまうと、身体的にも精神的にも問題が起きるケースがあります。
また聞き取れないような超低周波音であっても、問題が起きる可能性があるのです。
低周波騒音が原因となる不調の初期症状としてよく起こるのが、断続的に「ボー」といったような低めの鈍い音が聞こえるというもの。
リラックスしているときや寝ているときにも聞こえてきてしまい、耳が詰まったような感じになります。
そのうち症状は耳以外にも現れ始め、落ち着きがなくなったり、胸の苦しさを覚えたりと症状が広がってしまうこともあるのです。
このように低周波騒音が原因となって起こる問題の種類はさまざまですが、大きくは物的苦情や心理的苦情、生理的苦情の3つに分けられます。
それぞれの項目に分けて、どういった内容なのか詳しく見ていきましょう。
問題1:物的苦情
物的苦情とは、主に家屋や家具などの振動に関する苦情を指します。
音は感じられないにも関わらず、扉や窓が揺れたりがたついたりするのが主な現象です。
この現象は、低周波音だけでなく地面振動が原因となることもあるので、どちらも原因となり得ると頭に入れておきましょう。
物的苦情を感じる場合、多くのケースで20Hz以下に強い周波数成分を持っている超低周波音が起因となっています。
状況や条件で異なりますが、不安定でがたつきがちな建具の場合、以下の周波数と音圧でがたつきが出始めるという実験結果があります。
- 建具ががたつき始める周波数と音圧
- 5Hz(ヘルツ):70dB(デシベル)
- 10Hz:73dB
- 20Hz:80dB
上記の実験結果の通り、周波数が低くなればなるほど、小さい音圧でも家屋や家具への影響が出やすいと言えるのです。
問題2:心理的苦情
心理的苦情は名前の通り、人が不快に感じたり心身に支障をきたしたりしていることに関する苦情です。
低周波騒音が常に聞こえてくることにより、リラックスできない状態が続いてしまいます。
すると、疲労感がたまってきて、集中力が続かなくなってきます。
ぐっすりと眠れないために、いつもなら気にならない程度の物音や自分の寝返りで目が覚めてしまうという方もいるようです。
こういった状態が続いてしまうと、イライラや脱力感、倦怠感が常につきまとうようになります。
そのままにしておくと、自律神経失調症などの精神障害になってしまったり、薬物に手を出してしまったりという事例もあります。
小さな音や聞こえにくい低周波音でも、ずっと聞こえているだけで、大きなストレスにつながると言えるのです。
問題3:生理的苦情
生理的苦情とは、耳鳴りや頭痛、吐き気などの症状に関する苦情です。
主に心理的苦情の症状が悪化してくることにより起こります。
よく眠れないことに起因した頭痛やめまい、腹痛、手足のしびれ、血圧の上昇、吐き気など身体全体に関わるさまざまな不調が現れてきます。
身体の不調に加えて幻聴や幻覚の症状が現れるケースもあり、中には癇癪の発作によって自動車事故につながった事例も報告されているのです。
低周波音によって心理的苦情や生理的苦情が起こる原因はいくつかあります。
どのような原因があるか知っておきましょう。
低周波音によって心理的苦情、生理的苦情が起こる原因
心理的苦情、生理的苦情の原因となる周波音は、超低周波音と低周波音、両方の可能性があります。
全体的に見ると、超低周波音よりも、可聴域の低周波音が原因となった心理的苦情、生理的苦情の割合が多くなっています。
先ほど説明した通り物的苦情は超低周波音で起きるため、超低周波音の場合は全ての苦情を併発しているケースが多数です。
低周波音の場合は、聞こえる中でもかなり低い音の場合の方が苦情の発生率が高いです。
心理的苦情、生理的苦情の原因が通常の騒音によるものなのか、低周波騒音によるものなのか見極めるのが難しい場合もあります。
音の発生源が屋外の際は、窓を開け閉めしてみるとどちらが原因か分かる場合があります。
通常の騒音であれば窓を閉めることで遮音され、音が小さく感じられます。
一方で低周波騒音だと窓を閉めて高い周波数の音が遮断されたことにより、今まで聞こえなかった低周波音に気が付く可能性があるのです。
低周波音の感じ方は個人差が大きいため、一般的な騒音の受忍限度のように、明らかな基準値が設けられていません。
環境省は、低周波音のひとつの基準値として参照値を設定しています。
自社機器の低周波音が気になる場合は、一度計測してみてはいかがでしょうか。
低周波騒音の対策方法
低周波騒音の対策として最適かつ有効なのは、苦情の発生源となっている機械などを囲ってしまうことです。
過去にあった低周波騒音の事例として、発生源が設置されている施設の周囲に干渉型の壁を設けたり、コンクリートブロックの設置や内側へ吸音材を張りつけたりといった対策により、苦情が解決したケースがあります。
低周波音は、私たちの身近に存在するものではありますが、人によって聴こえ方や感じ方が大きく異なるのが特徴です。
身のまわりで低周波音騒音ではないかと疑う事例が起きた場合は、建具のがたつきや不快感などの現象の発生時刻をメモしたり、周波数分析器などを使って低周波音を測定したりすることで原因を突き止めることができます。
自身での対応が難しい場合は、専門業者に測定・対策を依頼するのもひとつの方法でしょう。
低周波音に適した素材を組み合わせて騒音の低減を図ろう
いかがでしたでしょうか。
この記事を読んでいただくことで、低周波音や低周波騒音の原因や問題、対策法についてご理解いただけたと思います。
騒音の発生源や環境によって有効な対策は異なりますが、特定の音域に適した吸音材などを取り入れることで、騒音の低減を期待できます。
健康に大きな影響を与えてしまう可能性もあるため、低周波騒音の対策は不可欠です。
本記事を参考にして、適切な低周波音騒音の対策を行うようにしましょう。
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